【特長&チート能力】 ●『勝利確定カード』を3枚所持。試合開始直後、審判に対し強制的に勝利宣言させることができるという最上級のチートアイテム。 ●『敗北無効カード』を1枚所持。仮に負けた場合でも、1度だけ敗北を無効にできる。 |
『第二十四章 プロゲーマーVS女子高生』引用 24.16 プロゲーマー徳川政宗 プロゲーマー徳川政宗——プレイヤー名——は、アラトが住む地球においてオンライン対戦ゲーム世界チャンピオンである。 20歳の彼もアラト同様、純粋な人間だ。 そして彼にはプロゲーマーとしての凄まじい実績がある。 オンライン対戦ゲームにさまざまなカテゴリーがあるが、RPG、シューティングゲーム、格闘ゲーム、レースゲーム、シミュレーションゲーム、テーブルゲーム、トレーディングカードゲームなど、個人戦、チーム戦を問わず、世界チャンピオンの座をほしいままにしてきた。 プロゲーマー業界で彼の名を知らない者は世界中どこにもいないという伝説級のプロゲーマーだ。 しかし彼は単なるゲームプレイヤーであって、リアルに命の奪い合いをする戦士ではない。 本大会限定という条件で、運営組織が彼の所有する『ザ・インフィニティレベル』のトレーディングカードに特別な能力を付与しているにすぎないのだ。 理屈は不明だが、カード内容を実現させる魔法使いでも準備したのだろう。 徳川政宗からすれば、自身が所有するトレーディングカードの内容をリアルにパフォームできるというのだから、こんなエキサイトする話はほかにない。 こうして彼は運営側に言われるがまま参戦を果たした。 優勝報酬は所持していないトレーディングカードを手に入れるという望みだったに違いないが、想定外の敵を甘く見すぎていたのが今回の敗因だったと断言できる。 24.17 『ザ・インフィニティレベル』 『ザ・インフィニティレベル』は、20年以上人気が衰えないオンライン・トレーディングカードゲームだ。 その最たる特徴はなんといっても、販売された全てのトレカ——トレーディングカード——の所有者データがゲーム運営会社のサーバーによって厳格管理されており、オンライン上で遊べるだけでなく、所有者間のトレカ授受が一瞬で処理できる点にある。 具体的には、他者から譲渡してもらう、買い取るなどの行為により、トレカデータの所有者をオンライン上で移行させることで、授受が正式に完了するというシステムなのだ。 ゆえに、国境を越えてオンライン上で簡単に、かつ、安全にトレカ授受の手続きができるわけだ。 また、盛んにトレカ売買が成立するように、銀行口座間の送金とリンクさせてトレカデータが授受できるサービスも展開している。 サーバーによるデータ管理を行う一方で、トレカの実物は、まっさらのトレカ——エンプティカード——にデータ移植することで手にすることができる。 特殊な印刷技術によって、トレカの表面に印刷されているイラストも、授受の都度正確に再現され、本物としての価値を継続でき、かつ、自国の言語に変更すら可能なのだ。 もちろん、エンプティカードに印刷するためには、トレカの販売店舗やゲームセンターなどに足を運ぶ必要がある。 当然、セキュリティ面は万全だ。 ゲーム運営会社が開発した三次元式QRコード——三つのQRコードによって疑似的に立体化したコード——によって偽造防止されており、高度なセキュリティを維持しているのだ。 ちなみに、他人に譲渡し、無効となったトレカ実物の印刷面は、犯罪ができないように一定条件下で消える仕組みにもなっている。 ザ・インフィニティレベル運営会社が、このオンライン・トレカ運用システムを独占している。 そしてオンライン・トレカ運用システムだけが世界で唯一、勝てば相手のトレカを戦利品として受理できる——制限や条件あり——というギャンブル性の高いゲーム構造を可能としているのだ。 だからこそ、いまだ根強い人気を維持し続けている。 |