影妖怪アシュカ

【特長&チート能力】
●生命本体の核以外は実体のない影。核を守っていれば負けることはない。
●六種類の退魔法具を駆使して戦う退魔師。どんな硬い物質でも破壊可能な『宝戟』と、敵の魔術・呪術を封じる『錫杖』が強力。

『第二十六章 妖怪VS妖狐』引用

26.11 影妖怪アシュカ
 
 影妖怪アシュカは、並行世界の地球に存在する妖怪にして退魔士でもある。そして、元は人間だった。
 
 彼の家系は先祖代々受け継がれる退魔士の一族であり、インドにある寺院で生まれ育った。幼少期から退魔士としての訓練を受け、その才能が開花する。
 10歳代の頃から退魔士になり、人間界に巣くう悪質な妖怪を退治してきた。その活躍ぶりは退魔士界の中でも群を抜く強者として高く評価されていた。
 
 彼が30歳になる頃、同じ退魔士仲間の女性と結婚し、子宝にも恵まれた。そんな順風満帆だった彼の人生に大きな転機が訪れる。ある妖怪に家族全員の命が奪われてしまったのだ。
 
 その妖怪に襲撃された際、退魔士であった両親も妻も戦ったが敗れて殺されてしまった。まだ幼かった一人息子も無残に殺された。彼自身も戦って瀕死の重傷を負ったが、かろうじて生き延びることができた。
 家族の仇敵となった妖怪は、途轍もない強さだったのだ。
 
 それから彼の生きる目的は完全に変わってしまった。妖怪退治から家族の仇討ちになったのだ。
 しかし直接対峙した身として、自分の能力だけでは仇敵の妖怪を倒せないと十分理解していた。
 
 そして彼は決断した。退魔士界最高位の秘伝『影妖怪変化の秘法』という秘術を我が身に施すと。
 しかし精神と肉体に凄まじい苦痛が襲うという秘術の成功例は、退魔士界の数百年に及ぶ長い歴史の中で、たった1度しかないと伝えられている。彼はそのことも十分理解していた。
 
 そして10年の歳月をかけて己の精神と肉体を極限まで鍛えあげ、ついには苦痛に耐えうる身となり秘術を成功させたのだ。
 
 彼は人間としての記憶を維持したまま影妖怪となり、自らを『アシュカ』と名乗った。
 
 阿修羅像を彷彿させる6本腕の影妖怪には、古来より神器として祀られている六つの退魔法具を所持する資格も与えられる。
 
 事実上の世界最強退魔士となった彼は、ついに仇敵となる妖怪を討ち果たすことができたのだ。
 
 彼はこの大会の出場において、亡き家族に思いを馳せた。
 たとえ我が身が元の人間に戻ることがなかろうとも、それでいい。
 家族が殺される前に戻り、仇敵の妖怪を殺すことができれば、あるいはせめて、幼くしてその人生の幕を閉じた一人息子だけでも助けることができれば、どれだけ嬉しいことかと。
  

第二十六章 妖怪VS妖狐



宝戟、錫杖、輪宝、三鈷杵、日輪、月輪、独鈷杵、三鈷剣

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