『第三十九章 多元宇宙マルチバース』引用
39.2 時の悪魔クロノスサタン 悪魔クロノスサタンは魔界——悪魔界ともいう——の住人だ。 もっとも大きな括りの世界——この世もあの世も一切合切含めたあらゆる概念からなる世界の全集合体——を『オムニバース:Omniverse』と呼称している。 そして『オムニバース』は、物質界と非物質界の二つに分けられる。 物質界とは、物質がそこに実在している世界のことであり、物質界と多元宇宙『マルチバース』は同義語になる。 要するに、多元宇宙『マルチバース』の範疇に入る原形世界『オリジナルワールド』、並行世界『パラレルワールド』、異世界『アナザーワールド』は、全て物質界だ。 一方の非物質界では、物質そのものがそこに実在していない。魔界は非物質界に属し、悪魔も霊的な存在として魂だけがその世界にいる。つまり、悪魔の真の姿を言い表すことはできない。 霊界もまた非物質界に属する。 悪魔は、物質界で生物の肉体——死後数時間以内の死体——に憑依することで活動可能になる。 人々が語る定義として、悪魔が物質界に降臨した存在を『魔人』と呼んでいるが、悪魔はそれを嫌い自ら魔人と呼ぶことはない。 クロノスサタンは、魔界に誕生して千年しか経たない下級の悪魔だ。上級悪魔は銀河が誕生した頃から存在しているので、いかに若いかがわかる。 下っ端である彼は、上級悪魔が創ったとされる魔宝玉『七つの大罪』と魔宝玉に付属する『刀剣破壊斧』を物質界から回収するように、上級悪魔から命令されていた。 彼が大会に出場した目的は、それらの在りかを捜索するためなのだ。 |