

【特長&チート能力】 ●機械でできているキメラの肉体(ライオン頭、ゴリラの胴体、グリズリーのツメ)に魂が宿った機械生命体。生物としての自然治癒力を有する。地上を高速走行できる直径5mの球体に変形可能。 ●クチから凍結ガスを吐く。地上に存在するあらゆる物質を一瞬で凍結させるが、自分自身は凍結しない。 |
『第四十二章 機械生命体VSコピー兵器』引用 42.4 機械生命体クーゲルビースト クーゲルビーストにはヒトの魂が宿っている。 ライオン顔に猛獣の鳴き声、その機械仕掛けのモンスターはそもそもロボットにすぎなかった。 並行世界の銀河に、人類文明が繫栄しているとある惑星がある。その惑星に小さな王国が存在した。その王家の城を守る門番こそ機械兵クーゲルビーストだった。人間によって製造された機械の兵士。 小さな王国にたった一人の王女がいた。彼女は10歳に満たない幼い少女。動物好きの彼女は、猛獣顔の機械兵が好きだった。大きなぬいぐるみのように思っていたから。 その王国の隣には、惑星で最も強大な軍国主義の帝国があった。いつ侵略されてもおかしくない情勢。そしてついにその日はやって来た。 わずか数日で小さな王国が蹂躙され、王家の城が陥落した。王族は皆、ことごとくその場で処刑された。当然、城門を死守した機械兵クーゲルビーストも破壊された。 王家の親衛隊は、たった一人生き残った幼き王女がどこか遠くへ逃げ延びるように、城の外へと脱出を試みた。しかし多勢に無勢、数十名いた親衛隊も一人残らず殺されてしまった。 親衛隊は皆、死に際に祈った。優しくて純真無垢な王女が生き延びるようにと。罪もない、殺されてしまう理由もわからない、そんな幼き少女が短命で終わることがないようにと。 幼き少女は城下町の暗闇に身を隠した。独りで怯えながら。どこに行けばいいかもわからない。敵に見つからないようにこっそり泣いた。声を漏らさず泣いた。それでも、敵兵に見つかってしまう。 少女は走った。残っていない体力を絞り出して走った。 剣を構え王女を追う敵兵団。あっさりと捕まってしまう。敵兵の剣が王女の首を狙い振り上げられた。 その時だった。 王女を捕まえた敵兵団が一瞬で薙ぎ倒される。数十名いた敵兵が次々と排除され、幼い王女が一人残った。王女に手を優しく差し伸べるモンスター。王女はそのモンスターをよく知っていた。彼こそが破壊されたはずのクーゲルビーストだった。 クーゲルビーストは幼い王女を抱えたまま、ひたすら戦った。なんとか逃げ延びようと奮闘した。そして数万の敵兵相手に、なんとか逃げることができた。 しかし……、しかしだ。 幼い少女は機械兵の手の中で絶命していた。目の前で大勢の人間が死に、幼い子供の精神は耐えられなかったのだろう。 機械兵クーゲルビーストは咆哮を上げた。それは悲しみであり、怒りであり、後悔であり、無念でもあった。 なぜ破壊されたはずの機械兵が再び立ち上がれたのか。幼い王女を守るために。 それは数十名いた親衛隊の魂が一つになり、彼に宿ったから。守りたいという意志、助けたいという意思、無念という思い、それらが一つとなって、機械兵クーゲルビーストに宿ったのだ。 こうして銀河でただ一つの機械生命体が誕生した。 彼は猛獣の顔、猛獣の声。人間の声帯がないという理由で言語は話せない。しかし、ヒトの魂はそこにあるのだ。 |